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第1章 プロローグ
待っててくれ。
絶対に、何があろうとも君を助け出してみせるから。
青年は、周りがガラクタで作られた家で油っぽく鉄臭い、様々な異臭が混ざった集落の中を歩いていた。
道端には感染症に罹って仰向けになっている人、ゴミ山の中を漁る人、中には虫が体の周りをたかっている者もいる。
皆プライバシーもあったもんじゃない。家の中は丸見えだし、服はずっと洗っていないであろうボロボロの物ばかりだ。
俺の光、希望。
彼女の夕日のような輝きを持つ小麦色の長い髪の毛と鈴のように儚く、透き通る声が卓の脳裏を掠める。
「たっくん、この黄色い花なんて言う名前なの?」
「私ね、この桜の香りとても好きなんだ」
「たっくんずっと一緒にいようね」
彼女の黄金色の大きな瞳、ビスクドールのようにきめ細かく白い肌にサクランボのようにツルツルとした小さく赤い唇。
ルシア、ルシア、ルシア、ルシア
青年は、心の中で愛する人の名前を叫び続けた。
もう一度君の顔を見たいんだ。
君の笑った顔を。
あの日、俺は君に会えたから生きていこうと思った。
今まで生きることが出来た。
こんな所で諦めるわけにはいかないんだ。
この国の為にも、ルシアの為にも。
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