1.再会

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「先輩? いいよ、いつがいい?」 「おいっ!」と、名達が止めようとする。 『結城さんはいつでもいいって……』 「名達、今夜暇だよな?」と、スマホを耳に当てたままで聞いた。 「暇だけど……。お前、何勝手に――」 「――今夜七時に金曜の店でいい?」  俺は名達の話も聞かずに、約束をした。 『うん、わかった……』 「先輩も行こ」 『え……?』 「いきなり二人で会うより良くない? それに、金曜は食事もしないで帰っちゃったし」  俺の下心が読めたのか、名達と影井は呆れ顔をしている。 『でも……』 「二人の気が合えば、俺たちは先に帰ればいいよ」 『う……ん』 「じゃあ、七時にね」  やった! 一週間たたずに先輩に会える!  場所が違えば、飛び上がりたいほど嬉しかった。 「俺をダシに使いやがって……。随分嬉しそうだな」と、名達が冷ややかな目で俺を見ていた。 「ここ、奢れよ」 「ホント、相変わらずの無表情だけど、すげー喜んでるのはわかるわ」と、影井が笑った。 「ついでに俺もご馳走様です!」 「なんでだよ!」  三人分の蕎麦代も、午後の仕事も苦にならなかった。  ただ、ひたすらに七時が待ち遠しかった。
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