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「同期だから、それなりにはね。二人は?」
名達さんも楽しそうだ。
合コンの時はすごく真面目そうで、合コンに参加するタイプには見えなかったけれど、話してみると気さくで楽しい印象に変わった。
「同期の中では仲いいです。ねっ?」
「うん」
「あれ? でも、年上じゃなったですか?」と、名達さんが私に敬語を使った。
「中途……採用なので……」
「そうなんですか」
料理が運ばれてきて、テーブルがいっぱいになった。
紫苑は私のことを、名達さんに何て話したのかな……。
私は数品を取り皿に乗せて、紫苑の前に置いた。
やっぱり、元カノ……かな。
「先輩?」
名達さんはどう思っただろう……。
「先輩?」
「ちゃんと食べないと、また悪酔いする……よ?」
言ってから、ハッとした。ボーッとしていて、過去と現在を混同していた。
紫苑が不思議そうな顔で私を見ていた。
「あ……ごめ――」
「――いや」
紫苑の目尻が少し下がった。
「ありがとう」
わら……った?
私には、紫苑が微笑んでいるように見えた。
「名達さんは何が好きですか?」と言って、結城さんが取り皿を手に持った。
結城さんと名達さんは意気投合していた。付き合うかはわからないけど、連絡先を交換していた。
「葉山さん、今日は本当にありがとうございました」
店を出ると、結城さんが言った。
「幕田さんも、付き合っていただいてありがとうございました」
「いいえ」
「じゃ、俺は結城さんを送るよ」と名達さんが言った。
「葉山さん、また一緒に飲みましょう」
「はい」
結城さんと名達さんを見送って、私と紫苑は歩き出した。
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