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そして、終業一時間前。
名達からメッセが届いた。
時間と、店のリンク。
忘れてたな……。
昼休み、影井と飯を食いに出た時に時間と場所を聞いていた。影井も同期で、名達とよく合コンに行っている。いや、行っていた。
「前の合コンで知り合った子と何回か食事に行ったんだけどさ。昨日ちゃんと付き合おうって話になって……」と、影井が少し照れ臭そうに言った。
「良かったな」
影井はわりと真剣に出会いを求めて合コンに参加していた。
結婚願望が強いのは、共働きの両親との三人家族だったせいらしい。
「サンキュ……」と言った影井は、まだ何か言いたそうだった。
「なに?」
「いや……」
影井は生姜焼きを頬張った。
「なんだよ、気になる」
「彼女が出来たからって偉そうに言うつもりはないけど……」
「うん?」
影井は口の中を空にして、水を飲む。
「ちゃんと恋人作る気はないのか?」
影井も名達同様に、俺が合コンでお持ち帰りした女と一晩だけの関係で終わっていることを知っていて、軽蔑している。
「お前はモテるからさ、その場限りの方が気が楽で煩わしくないのかもしれないけどさ。合コンに来てる女の子の中には真剣に出会いを求めてる子もいるだろうし……って――」
黙って話を聞く俺を見て、影井は笑った。
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