5.温もり

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*****  名達と結城さんの喧嘩の後から、定期的に五人で飲みに行くようになっていた。俺と名達に恋人が出来たことで、影井は合コンに誘われることが少なくなり、今では恋人探しよりも仕事でのスキルアップに励んでいた。  金曜日。  俺たちは五人で飲むことになっていた。終業時間になり、三人で会社を出るところに、名達のスマホが鳴った。 「え? 朱音さんが?」と言いながら、名達が俺を見た。 「おい。今井って四十くらいの女、知ってるか?」 「はっ?」 「朱音さんが会社の前でその女に声を掛けられて、ついて行ったって」  思い当たる人間は一人だった。  俺は名達からスマホを奪って、結城さんから状況を聞いた。  会社を出たところで『今井』と名乗る四十歳くらいの女性に声を掛けられた朱音は、結城さんに約束をキャンセルを告げて女性と一緒に行ってしまった。女性が名乗ると、朱音は「紫苑の……」と呟いたという。  結城さんが朱音を心配して、二人の後を追ってくれていたから、居場所はわかった。  俺は朱音のいる店に急いだ。  詳しい事情もわからないまま、名達と影井もついてきた。  朱音は駅近くのファミレスにいた。  店の前で結城さんと合流し、朱音に気づかれないように、彼女たちの背後の席に座る。 「なんでお前らまで来るんだよ……」  俺は朱音に聞こえないように小声で言った。頭まであるソファのお陰で顔を見られる心配はないけれど、声でバレる距離だった。 「只事じゃない慌てようだったから心配したんだろ」と、名達も小声で言った。 「そうですよ」と、結城さんも声を潜めた。 「てか、お前はあの女が誰か知ってるのか?」と、影井も小声で聞いた。 「ああ、知ってる」 「誰だよ?」
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