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「じゃあ、脅してないで、手っ取り早くザクッってしちゃっても良かったんだ?」
ユーディは苦笑いした。「できれば刈りたくはない。気持ちの良いことではない。特に人の形をしているとね」
そう…なんだ…「ん?刈られても死なないなら、あのグレーのも別に逃げる必要ないような…」プリエは少し首を傾げた。
「刈られる方も気持ちの良いことではない。鎌で切り裂かれることには違いないから。プリエだって、例え死なないとわかっていたとしても、鎌でザクッってされるのは嫌だろう?」ユーディは諭すように言った。
「うん…嫌…怖い…かな」
「そういう事だ。だから逃げた。暴力的な者たちが集まっている場所では刺す刺されるが日常だから、そういう場所の者ならばそれも慣れているかもしれないが、あの者たちは違う」
「そんな場所があるんですか?」プリエは顔をしかめた。
「あるよ」フェリスが口をはさんだ。「似たようなのが集まるってそういう事。文句ばっかり言ってるとそういう人たちばかりの場所に行く事になるし、嘘つきだと嘘つきばかりの場所に行く。見栄っ張りだと見栄っ張りばかりの場所とかね」
「え…嫌かも」
「嫌だね。お人よしならお人よしばかりの場所に行くし、やさしければやさしい人ばかりの場所にいく」
それは悪くないかな。
「実際はもっと複雑だけど、とにかく、良くも悪くも似たような人たちが集まる。こっちはそうなってるんだ。向こうは、色んな人たちがごちゃ混ぜになってるけどね」
ん?ああ、確かに。
「話、ちょっと逸れちゃったけど、プリエも鎌に触れるとプリエのあるべき場所に飛ばされるから気を付けてってこと」
「あたしのあるべき場所?って?」
「今のプリエの本来の場所はもっと下層だよ。飛ばされたらもう助けにいけないからね。僕もユーディも」フェリスは脅しを込めてそう言った。
「へっ…そう…なんだ」とにかく、鎌に触れなきゃ問題なし。よね? けど、ホントに気持ち良いなー。ユーディにお姫様抱っこされて空中飛行だなんて、もう、最高!生きてて良かったー
フェリスはプリエに白い目を向けた。
「さて、さっきの質問に戻ろうか」ユーディが淡々と話し始めた。「あのグレーな者たちは、あれは、向こうで自殺した者たち。プリエを自分たちのところに取り込もうとしてる」
え?自殺?あたしを取り込む?
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