第2章 空中飛行

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(せい)は不滅。プリエの意識は永遠に消えない。自殺にも色々あるけど、あれは逃げで自殺した者たち。辛いから、苦しいから、それから逃れようとして自殺する。けど、それは肉体を絶つだけのこと。永遠の(せい)は残る。結局苦しみも続く。逃げても無駄。自分自身で乗り越えるしかない。肉体がなくなってもそれすらも理解できずに、辛いままだからと何度も自殺を繰り返している者も居る。さっきのグレーの者たちは、自分が苦しみから抜け出せないのなら、他人も同じ目に、この苦しみに引きずり込んでやろうという自殺者の中でもたちの悪い部類。プリエを狙っている」ユーディは淡々と説明した。 「どうして、あたしを狙うの?」 「プリエの中に同じ要素があるから」そう言ってユーディはプリエの目をみつめた。  え?同じ要素?何? 「自殺」フェリスがポツリと言った。 「え?あたし、自殺なんてしてない!」プリエはあわてて否定した。 「あの時、階段から落ちかけた時、お母さんの手、取らなかっただろ?取ろうと思えば取れたのにわざと取らなかった。このまま落ちた方が良いのかもって思ったよね?」フェリスは唇をかみしめた。  あ…。「そんなこと…ない」プリエは目を伏せた。 「僕は君の守護者だよ。向こうでもずっと付いてた。全部わかってる。嘘ついたって無駄」フェリスは強い調子で言った。 「けど、あたし、自殺なんて考えてもなかった…」プリエは目を泳がせている。 「それでも、自殺に近いんだよ。だから、あいつらは、このままプリエの肉体を死なせて、プリエに同じ苦しみを味あわせてやろうってしてる。そのために僕たち…守護者たちから引き離してしまおうとしているんだ」 「苦しみって?」 「他人の肉体でも、自分の肉体でも、絶ってしまうのは罪。その責任は取らないといけないんだ。苦しみっていう形で責任をとることになる。楽になりたくて自殺をする、でも、それって結局逃げだから、もっとつらい目にあうことになる」 「具体的には、どんな?」  フェリスは返事に詰まった。 「先ほどから聞いているとフェリスの知識はなかなか素晴らしいと思うが、具体的にどんな苦しみかと言われると人それぞれとしか言いようがない。フェリスも答えられないだろう」  フェリスは嬉しそうな顔でユーディを見た。ユーディはフェリスを見て口の端をあげ、話を続けた。
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