第1章 救出

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 何かホントに訳わかんないけど、とにかく、逃げなきゃ!  突然、2人の後ろで何かが光った。2人は反射的に後ろを振り返った。  そこには、2人をかばうようにして立っている男性の後ろ姿があった。青白く光る三日月型の大きな鎌、背丈よりも大きな鎌を手にした鎧姿の青年。紫味を帯びた銀青色の髪がさらさらとなびいていて、青味を帯びた銀色の鎧から、いや、全身から光を放っているように見える。 「ユーディ」少年はあからさまにほっとした表情を浮かべた。  ユーディと呼ばれた青年は、三日月型の銀の大鎌を掲げてグレーのもの達に向かって叫んだ。 「『天翔ける銀の月(あまかけるぎんのつき)』、聞いた事くらいはあるだろう。刈り取られたくなければ、去れ!」  大鎌の刃先がキラリと光った。 「銀の月…」「刈り取りの鎌だ…ユーディなのか?」グレーの2人は明らかに動揺している。 「刈り取られたいのか!」ユーディは両手で鎌を斜に構え、赤を秘めた青の目でグレーの2人を見据えた。全体的に青っぽいクールな色合いのその姿には、冷静だが内に秘めた激しさのようなものも表れている。  なんか、この人すごい…青い炎が燃えてるみたい…  プリエはユーディの後ろ姿にすっかり釘づけになっていた。  グレーの2人はユーディの迫力に、おびえた表情を浮かべて後ずさり、その場から消えた。  ユーディは鎌をおさめて、振り返り、穏やかな表情で2人に微笑みかけた。「無事でよかった」  うわっ、やさしそう…この人めちゃくちゃかっこいい!  プリエはさっきとは違う意味でユーディに目が釘付けになった。 「ユーディ、ありがとう。けど、どうして?」少年がたずねた。 「リリに頼まれてね」ユーディは淡々と答えた。真顔だと厳しそうな印象が強いが、整った顔立ちはむしろ際立つ。 「ああ、そっか。ほんとに助かったよ」少年はほっとした顔をしている。 「守るのはお手のものだからね」そう言って、ユーディはいたずらっぽい笑みを浮かべた。少し表情が緩むだけで途端にやさしそうな印象にかわる。 「(ゆう)も協力してくれてるんだね」少年はユーディの銀の紐をチラっと見た。「そうだよね、でなきゃ、ユーディがこんな下の場所に来れるわけないよね。リリですら来れない場所だもんね」
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