第2話 記録と記憶

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気付くと俺は何故かステージの中央に立っていた。 「何処だここ?」 客席はワインレッドの上質なシートが規則正しく2階席迄並び、そこには誰も居ない。 そこまで理解すると、見計らった様に突如開演合図のチャイムが鳴り響いた。 音に合わせて辺りが暗くなる。 そして、俺の立つ場所に強い明かりが照らされた。 眩しい、それに何だか嫌な気分だ。 ここに居たくない。 咄嗟に顔を庇い、慌ててステージから客席の方に降りる。 振り返ると、当てられた光はどうやらスポットライトではなく、映写機で投影された光の様で、白い壁に映る景色は移り変わって行った。 なんだか、変な気分だ。 ココは現実味がない。 そもそも何故自分はココにいるのか。 いや、違う。 「……夢」 そう呟くと同時に映写機は止まり、再度暗転が入る。 そうだ、俺は家のベッドで夢日記を用意して寝た。 ステージの奥にある壁に又、映写機が動き出したのか、何処かの景色を映し出し始める。 だが何だろう、映像の中心に先程と違う立体的何かがあるように思える。 ステージに誰か居るのだろうか。 映写機の映像が流れている為、詳しくそれが何かは特定出来ないが、確かにそこに居る。
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