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気付くと俺は何故かステージの中央に立っていた。
「何処だここ?」
客席はワインレッドの上質なシートが規則正しく2階席迄並び、そこには誰も居ない。
そこまで理解すると、見計らった様に突如開演合図のチャイムが鳴り響いた。
音に合わせて辺りが暗くなる。
そして、俺の立つ場所に強い明かりが照らされた。
眩しい、それに何だか嫌な気分だ。
ここに居たくない。
咄嗟に顔を庇い、慌ててステージから客席の方に降りる。
振り返ると、当てられた光はどうやらスポットライトではなく、映写機で投影された光の様で、白い壁に映る景色は移り変わって行った。
なんだか、変な気分だ。
ココは現実味がない。
そもそも何故自分はココにいるのか。
いや、違う。
「……夢」
そう呟くと同時に映写機は止まり、再度暗転が入る。
そうだ、俺は家のベッドで夢日記を用意して寝た。
ステージの奥にある壁に又、映写機が動き出したのか、何処かの景色を映し出し始める。
だが何だろう、映像の中心に先程と違う立体的何かがあるように思える。
ステージに誰か居るのだろうか。
映写機の映像が流れている為、詳しくそれが何かは特定出来ないが、確かにそこに居る。
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