446人が本棚に入れています
本棚に追加
/178ページ
「あ……れ?」
扉の先がステージだったのか。
いや違う、空間が切り取られたみたいに又元の場所に戻っているんだ。
その証拠にさっき入った扉はなくなり、目の前のステージ下には“アレ”がいた。
自分だけ元の場所に引き戻されたのか。
「夢っていうやつは、理解すると本当に奇天烈な世界だな」
“アレ”も俺の場所が移動したのに気付き、ゆらりとステージによじ登って来る。
ステージの壁には未だ映像が映され、不思議な雰囲気を醸し出している。
「ん?」
ふと、天井に違和感を覚えて見上げると、ずらりと並んだ照明が不自然に揺れていた。
「……まさか」
ドラマや映画でこの状況は見た事が有る。
確かこの後照明を支えているはずの留め具や紐が緩み、落下するんだっけ。
理解したと同時に、それを再現するかの様に照明は俺の真上に綺麗に落下し、呆気なく下敷きになる。
ほらやっぱり、と思いながらも意識は次第に遠のいて行った。
そして俺は見慣れた場所で目を覚ます。
「すげー夢」
そう呟きながらもベッドの近くに置いていた《儚録》を手に取った。
何が何だか全く理解出来なかった。
まさかの日記始めがこんな内容とは、これからもこの日記は随分と濃くなりそうだな。
最初のコメントを投稿しよう!