第1話 繰り返される悪夢

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「お兄ちゃん遅ーい」 「悪かったな」 瞳の言葉に適当に答えて、パンをその場で咥える。 「座って食べなさいよ」 「時間がないし、今日はもう出るから」 「え、嘘!ちょっと待って!」 母の言葉に答えて、そのまま居間を離れようとすると、瞳が食事を慌てて口の中にかき入れた。 俺はそんな瞳を無視して、玄関でパンを食いながら靴を履く。 すると、少ししてバタバタと足音が聞こえ、瞳が付いて来た。 「ちょっと置いてかないでよ!」 膨れっ面で俺に付いてくる瞳を置いていかないように、さり気なくゆっくりと通学路を歩き始める。 それに気づいたのか、瞳は満足げに俺の横で落ち着いた。 全く兄離れ出来ない困った妹だ。 瞳は黒のセミロングで身長が150㎝弱の中学3年生だ。 そして、兄の俺から見ても可愛い部類に入るぐらいの整った容姿。 ひとりで歩かせるなんて、正直出来ない。 だが、こんな話をすればシスコン呼ばわりされるだろうから、そう思われない為にも、つい素っ気ない態度を取ってしまう自分がいた。 学校に近づくと通学路でもある為、同じ制服を着る生徒が増えてくる。 さて、そろそろ瞳との分かれ道だ。 「じゃ」 適当にそう言って、俺は高校に向かう為左に進み、瞳は右に曲がる。 そして少し歩いた後、立ち止まり振り返ると、瞳も気にせず歩く後ろ姿が見えた。
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