第1話 繰り返される悪夢

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大丈夫だろうか。 ふと、不安がよぎる。 「ほう、今日のアキくんも安定のシスコンですな」 突如後方から声が聞こえ、激しく心臓が飛び跳ねた。 振り返ればかなり近い距離にクラスメートの顔があり、俺は慌てて距離をとる。 「近い、後アキくんは止めろ」 「え、なら“アーくん”“アッキー”“アキぴょん”で言うならどれがいい?」 「喧嘩売ってんのか、普通に明人(あきと)って呼べよ」 「えー、可愛くねーじゃん。 蝶名 明人(ちょうな あきと)君よう」 「フルネームで呼ぶな」 この図々しく絡んでくる男の名前は、太宰 春樹(だざい はるき)。 何処かの文豪の様に自殺癖もなければ、女にだらしがないわけでもないが、イマイチ性格が掴めない点は似ているのかもしれない。 しかも、こんな性格の割には制服はしっかりと着こなし、背筋もピンと伸びている。 身長も180で、女性の好む甘いマスクと言う、何処かの物語から出て来たかと思うほど完璧な奴だ。 柄シャツを中に着て、少し猫背な俺とは本当に正反対で、正直隣を歩きたくないのだが、何故か俺はコイツに好かれてる。 「で、妹さんはもう大丈夫なのか?」 学校に向かって又歩き始めると、太宰は早速妹の話題を出してきた。 先程のふざけた声ではなく、真面目な声。 まあ当たり前か、あの事故の話しはふざけながらする会話ではないのだから。
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