第3話 3人目の存在

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俺はそんな瞳の両肩をそっと掴む。 「琴音は……俺の彼女の琴音は、今どうしているんだ?」 思い出した。 俺には恋人がいたんだ。 何故忘れていた。 いつも一緒に遊び、瞳の面倒も見てくれていた。 少し感情的になりやすく、瞳とよく喧嘩をしていたが、その関係すら微笑ましく、必ず最後には仲直りしていた。 「……」 瞳は俺の問い掛けに答えようとせず、目をそらす。 「何故答えないんだ、俺たちは昔よく3人で遊んでいたじゃないか」 「お兄ちゃんには、瞳がいるよ?」 俺の質問の答えにならない答えを、瞳は口にする。 「もう忘れようよ、お兄ちゃんは何も気にしなくて良いんだよ。 またいつも通りの日常に戻ろうよ」 瞳の目は微かに涙ぐみ、俺に頼みこんで来た。 確かにまだ記憶は完全に戻ったわけではない。 思い出し間際に感じた恐怖ですら、何故あそこ迄俺は恐れていたのか、思い出せてない。 喉元に何かが引っかかっている様な違和感が、激しくそこにあった。 瞳は間違いなくその何かを知っていて、俺に思い出させたくない様だ。 だが、相手が彼女となれば話は別だ。 「……もういい」 俺は立ち上がると涙を拭き、深く深呼吸をする。 「俺は自分の足で、琴音を探すよ」 そう言って俺は、瞳を置いて自分の部屋から出て行った。
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