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風呂に入り、リビングのソファーに座り携帯を弄る。
瞳はアレから俺の部屋から出た気配がない為、正直戻り難い。
「どうしちまったんだよ」
そう呟いて、頭を抑える。
瞳の雰囲気がいつもと違う。
携帯に表示された時間を見れば、9時を過ぎていた。
そろそろ両親が帰ってくる時間だ。
そういや、両親は俺に彼女がいた事を知っているのだろうか。
そう思い、首を横に降る。
いや、それはない。
あの時の俺は確か琴音の事を近所に住むクラスメートと言っていた。
「……近所、そうか琴音の家か」
思い出せないなら直接家に訪ねに行けば早いじゃないか。
ポツリと呟くと、2階で扉が開く音が聞こえる。
どうやら瞳は、漸く自分の部屋に戻った様だな。
何故か瞳は俺が自分の過去を探る事を良く思ってない。
ならば琴音の家に行く事はバレない様にしなくてはならないか。
そう考えると、明日の学校は少しサボる必要がある。
部屋に戻り瞳が居ない事を確認すると、床に座り、木箱の中を見る。
ガラクタだと最初に思っていたそれらは、全て琴音との思い出の品々だった。
手紙や消しゴム、押し花なんかもある。
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