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「見たらわかるだろ、一時はどうなるかと思ったが、顔の包帯はもうすっかり取れていつもの元気を取り戻してるよ。
まあ、所々後遺症で記憶があちこち飛んでるが、消えた記憶の部分はいずれ新しい思い出でいっぱいにしてやるつもりだ」
俺がやたらと妹を気にかける理由はここにある。
4年前の秋の終わり頃、俺は瞳と人気の少ない街路を歩いていた時、脇見運転をしていた乗用車に瞳が巻き込まれた。
事故の時、車は直ぐには止まらずタイヤに腕が引っかかったのか、瞳は顔を地面に付いたまま引きづられる。
そのせいで発見されてすぐの瞳の顔は血で赤く染まり、ぐちゃぐちゃに爛れ、俺はというと、状況が理解出来ずにその場で震え、立ち尽くしていた。
駆けつけた救急隊は、身元確認の為に近くにいた俺に話しかけて来たが、俺は放心したまま何も答えず、気付いた時には精神的ショックで声を失っていた。
瞳の服に付いた名札から何とか身元が確認でき、親に連絡されて事なきを得たが、アレは今だに俺のトラウマだ。
「そういや、そこら辺の時期だっけ、俺が太宰と知り合ったの?」
ふと我に返って隣を歩くイケメンに目を向ける。
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