最終話 歪みきった愛情

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「いや、てっきり大きな声で騒いだりするのかなって思ったからさ、随分静かなんだね」 「どうせ叫んでも、声が響かないように細工してあるか、この建物自体廻りが誰も居ない森の中にあったりするんだろ。 それなら叫んで余計な体力を使うよりは、その体力を別のほうに活用した方が有意義だ」 「へぇ…お兄ちゃん、頭良いんだね」 こいつ、俺を馬鹿にしているのか。 「いい加減にしろよ、それにいつまで俺をお兄ちゃん呼ばわりする気だ。 偽者が調子乗ってんじゃねーよ!」 そういうと、先ほどまで笑顔だった琴音の表情から笑顔か消えた。 「何だ…やっぱり全部思い出してるじゃん」 いつもの幼さも、可愛らしいしぐさも、全てが一瞬で消えてしまうほどの冷めた瞳と表情に息を呑む。 なるほど、これが本性か。 琴音はツインテールにしていた髪ゴムを外し、首の上まで閉めていたボタンを3つ外した。 「はぁ、疲れた…ねぇ、正直さツインテールとかダサくない?」 「そういや琴音は、元々髪を結ばす、ストレートなままだったな」 「そうそう、そっちのほうが綺麗な髪が痛まないしね」 そういって髪を手入れする仕草に、完全に琴音が重なる。 こいつ、俺と付き合っていた時はまだ可愛げがあった様な気がするが、あの時から猫かぶってたのか。
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