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『グッドゲーム』
小さい登りが立っているこじんまりとした店。
桜宮に案内された店であった。
「この店がTCGの専門店なんだ」
「うん」
光がまったく知らない店であった。敷地は三十坪もないだろう。普段からゲーム店に通わないせいもあったが、駅前にこんな店があったのかという感じであった。
二人は店に入る。ドアは自動ではなくガラスの引き戸であった。
「いらっしゃい」
光と桜宮に声をかけたのは、恍惚とした老人だった。白髪でヨボヨボとしている。
「おはよう、店長。また、お客さん連れて来たわよ」
「ホホホ、サクラちゃんすまんのう」
この老人が店長らしかった。ペットボトルのお茶を飲んでいた。
光は店内を見渡した。
音楽が静かに響き、椅子とテーブルが並び 、壁掛一面に剥き出しのカードが飾られパックが並んでいる。
初めての店で光は少しドキドキした。
「じゃあ光君、早速やってみようよ」
「うん」
桜宮と光は、テーブルを挟んで椅子に座った。
「まず、光君にはルールを教えるわね。炎と風のデッキを考えてきたからわかりやすいはず」
「うん……」
光はデッキを受け取った。デッキのカードは一枚一枚ビニールのシートに収まっている。裏にはドラゴンが描かれていた。これをスリーブという物だと後に教る。
「まず、このゲームの対戦する。まぁ、デュエルって言うんだけど、プレイヤーはジェネラルになるの」
ジェネラル……将軍という意味だったか、と、光は考えた。
「サーヴァントっていうカードが光君の兵隊なわけ。光君はジェネラルになって、サーヴァントやマギっていう魔法を使って相手を攻撃したりして相手のライフを0にしなきゃならない。ライフの量は5000で先に相手のライフを0にしたジェネラルが勝者になるの」
そこまではわかった。
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