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 そして、しばらくノートにペンを走らせた。 「光!」  階段の下から母親の声が聞こえた。 「は~い」  呼ばれて光は、居間に降りた。  母親がちゃぶ台の前に座っている。天音望美(あまねのぞみ)という名前であった。化粧っ気がないが、美人とわかるような顔つきである。20代と言っても通るような見た目だ。実際、望美は19才の頃に光を産んで結婚した。 相当、苦労したきたのだ。  光は座布団を自分で出して座る。家族は光と望美と父親で三人。そんなに大きくはないが一軒家に住んでいる。 「約束だったわね。ゲームを買ってあげるの」 「うん。でも、なんで、いきなり買ってくれるって許してくれたの?」  光にはそれが疑問だった。 「ちゃんと勉強してるからよ」  望美は淡々と言った。 「そ、そう……」  これはゲームを買ってもらったら、勉強をサボれないなと思った。 「それでね。お母さんもネットでゲームを調べたのよ」  光は次の言葉を待った。
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