こたつの精霊

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「こたつには、精霊が()るんよ」  帰省先である母方の祖母宅で、祖母と二人 こたつに入っていると、祖母が突然そんなことを言い出した。  祖母は大正生まれで、軽く90歳を越えている。とうとう祖母も歳に負けたのかと思っていたら、鬼の形相をした彼女に睨まれた。 「……貴史(たかし)!! ワシは、まだボケてないぞ!」 「わ、悪かったよ……ばぁちゃん。けどさ、こたつに精霊って……」 「正確には、精霊っちゅーよりかは御先祖様じゃ」 「え? ………御先祖様?」 「そうじゃ。世間一般は、盆や彼岸しか取り沙汰さんが、新年の親戚が会する時に御先祖様も一緒に居るんよ」 「……てことは、今も?」 「当たり前じゃろ。貴史の隣には、じぃさんが座っとるで」  シワシワの指を真っ直ぐ伸ばし、祖母はにこりと微笑んだ。……彼女には本当に見えているのだろうか。空席の隣を見て、俺は首を傾げた。
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