2人が本棚に入れています
本棚に追加
「こたつには、精霊が居るんよ」
帰省先である母方の祖母宅で、祖母と二人 こたつに入っていると、祖母が突然そんなことを言い出した。
祖母は大正生まれで、軽く90歳を越えている。とうとう祖母も歳に負けたのかと思っていたら、鬼の形相をした彼女に睨まれた。
「……貴史!! ワシは、まだボケてないぞ!」
「わ、悪かったよ……ばぁちゃん。けどさ、こたつに精霊って……」
「正確には、精霊っちゅーよりかは御先祖様じゃ」
「え? ………御先祖様?」
「そうじゃ。世間一般は、盆や彼岸しか取り沙汰さんが、新年の親戚が会する時に御先祖様も一緒に居るんよ」
「……てことは、今も?」
「当たり前じゃろ。貴史の隣には、じぃさんが座っとるで」
シワシワの指を真っ直ぐ伸ばし、祖母はにこりと微笑んだ。……彼女には本当に見えているのだろうか。空席の隣を見て、俺は首を傾げた。
最初のコメントを投稿しよう!