こたつの精霊

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 毎年、小さくなっていく祖母の姿。だが、今年はいつも以上に小さく感じた。祖母が口にした【お迎え】が近付いている証なのかもしれない。  命あるもの、老いていくのは自然なこと。いつかは……と分かっていても、別れから目を背けたくなる。出来ることなら、いつまでも元気でいて欲しい……。 「ばぁちゃん、あんま孝行出来なかったね。約束してた温泉旅行も一緒に行けなかったし……」 「……いいよ、もう」 「こっちに来たら、色んな所に案内するから」 「……分かった。楽しみにしとくよ」  ドタバタと忙しい足音が居間にやって来る。聞き覚えのある足音……母だ。
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