岐路

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[能武晴の気持ち] (201X年9月下旬・鹿能可弘の仕事場)  能武晴はこの日の仕事が終わった後、自主的にその場に残っていた。 能武晴「今日は、これをお返しします」  そう言って、能武晴は借りていた「小説」を鹿能の前に置いた。 鹿能「ああ、そう言えば貸してたね」  あれから、俺は少しずつこの「小説」を読んでいた。  正直、「技術的」には會振星(えぶりぼし)の底辺の作品(この小説とか)と大差ない作品だった。  だが、作者の「主人公(ヒロイン)の美人看護師への愛情」だけは強く感じられた。 鹿能「…それで、この小説は君の『役に立った』かい?」 能武晴「…おかげで、『自分の本当の気持ち』が解りました」  俺がこの小説で最も「印象に残った」のは、最終話の中の田鍋の「あるセリフ」だ。 能武晴「俺も田鍋と同じで、『再会』してからのあいつが『男』に見えた事はありません」  自分の気持ちに気付いた田鍋は、麟堂への「恋愛相談」の中で、素直に「本心」を打ち明ける。  田鍋は言った。  彼女を「手術」したのは自分だから、自分は彼女が昔「男」だった事をよく知っているし、当時の彼女の「体」を忘れる事も出来ない。  だけど、それでも自分は彼女の事を「愛して」いる。  何故なら、「今」の彼女は全てにおいて「女」にしか見えないからだ…と。 能武晴「俺は、『女』としてのあいつが『好き』なんです」  その証拠に、能武晴は鹿能から優子の「下着姿」を想像するように言われた時、「無意識」にギガデンモスの父を「排除」していた。 鹿能「それは何よりだね。 …彼女に『気持ちは伝えた』のかい?」 能武晴「それは『まだ』ですけど、いずれはあいつに『告白』しないと行けないと思います」 鹿能「そうか…じゃあ、その時にはどうなったか『結果』を教えてね」 能武晴「…はい」  …もしかして、「マンガのネタ」にするつもりですか?
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