第零章~相反する者~

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 王都の中心にある城、ハクア城には毎年恒例行事がある。それは、勇者を探す__聖剣診断というのだろうか?聖剣に一般市民が触れられる日だ。聖剣を持つ事が出来るのは勇者のみ、聖剣は__ ハクア城のすぐそばに建てられた聖剣の間、通称 神の間と呼ばれる聖域に祀られている。神の間にあるのは聖剣が刺さった台座、他には何も無い。だが、その周りには王国警備が立っているただそれだけ。 行事の内容は簡単だ、台座から聖剣を引き抜く者が勇者、それ以外はただの一般人、それだけで人の運命は大きく変わる。  今日は俺が勇者になる日だ。家系は代々王国騎士、家柄は完璧、学校の成績は優秀、俺以外に選ばれる奴なんて…… 「リクト。いよいよだね。」 親友のハイゼル、家系は孤児院で親の顔はわからないそうだ。だが剣の腕は俺より優秀、学業は俺と争う男だ。 「ハイゼル、今日は俺が勝ってみせる。」 「勝つ?何を勝負するんだい?」 「当然、どっちが勇者に選ばれるかだ!!」 そんなの勝負にならないよっと笑いながら、ハイゼルは順番待ちの列を進む。ハイゼルは自分なんかが選ばれる訳ないよ、なんて言うが俺の最大のライバルはこいつだと思う。 「バーカ、ハイゼルが選ばれるに決まっているじゃない。剣の勝負でハイゼルがあんたに負けたところ何て見たこと無いもの。」 「うるせえ、槍での勝負なら俺の方が上だ。ハイゼルが勇者だと思うのなら、何しに来たんだよ?ミズキ。」 「勇者誕生をこの目で見る為に決まっているじゃない。後、ついでにあんたの悔しがる姿を見る為にね。」 なんだと!!っと怒るがハイゼルがまあまあと間に入る。まーたやってるよ、周りの奴らは見飽きた光景かもしれない。いつも俺は幼馴染のミズキと口論になり、間にハイゼルが入る。いつもと変わらない俺らの学校の恒例行事。
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