無敵のハル

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しばらく飲んでなかったせいか、リオは酔いが回ってくるのを感じた。 「きれいだな」 空を見上げたハルが呟く。毎晩それを呟いているんだ。 隣を見て思う。 (あんたの方がきれいなのにな) 弟か。口元がほころぶ。それでも特別な繋がりなんだ。 (分らなかったうちにあんたを押し倒しておけば良かったかなぁ……) ゲイでもないのにそう思えるほど、ハルはきれいに見える。 (酔ってるな 星もきれいで ハルもきれいで) 弟で残念だよ。酔っているからこそ素直にそう思った。 どうせ押し倒してもあの時みたいにテコンドーで落とされるのがオチだけど。 気がつけばがっしりした手にお姫様だっこ。 (…んなわけ無い! この僕がお姫様だっこーー?) 「お、目が覚めたか?」 「降ろしていいよ……」 「だめだ。そんなに酔ってたら歩けないだろ」 世の中広しと言えども、こんなに軽々と自分を腕に抱けるのはハルだけかもしれない。 「肩に担げば気分悪くなって吐くだろ?  負ぶおうとしたらズルズル落ちていくし。これが一番楽だ」 「ハル……酔ってないの?」 「酔ってる」 (あれ? デジャブ? なんか同じことあったよなぁ……) そう思いながら、また眠りに落ちたリオだった。   
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