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無敵のハル
――ハル
どこの空の下にいる?
会いたいよ。あの無敵のハルにさ。
フィリップとジョセフを嵌めたのは見事だったよ。
あんなファイルも大真面目に作っちゃってさ。
パソコンもあんたの前じゃ形なしだった。
まさかプログラミングまで覚え始めちゃうなんて。
でも今のあんたには要らないものなんだろうな。
僕はあんたをどこまでも 追う 追う 追う 追う……
「おい、リオ! 何、寝惚けてるんだよ! オゥ、オゥ うるさい。お前はオットセイか。黙って眠れ!」
(違う、絶対、違う! 絶対そんな発音じゃない!!)
テントの中。リオのせっかくの浪漫ティックな夢は当の本人のハルに潰された。
「なんだよ、僕のさっきの夢、返せよ」
ハルは なんのこった? という目で冷たく見てる。
「朝、早いんだぞ。昼になったら暑くて作業どころじゃなくなる。早朝が一番はかどるんだ。大人しく寝ろ」
最初の2日くらいは、お互いに懐かしいのと再会が嬉しいのとで穏やかで楽しい時間を過ごした。幸せだった……
けれど、現実は厳しい。ハルは呆気なく兄弟感覚を受け入れた。
砂漠は容赦なく太陽を空のど真ん中に掲げるし、影もほとんど無い。夜は10℃以下に下がるのに、日中は40℃前後。定期的にテントやピラミッドの陰で休憩を取るけど、ハルの取る休憩は短かった。
「いいよ。もうちょっと休んでて」
そう言われればそれはそれで負けた気分でひどく悔しい。
(もっと違うこと想像してたんだけどな。毎日毎日毎日毎日……ああ、もう! 毎日掘ってるじゃん! ミイラ作って持ってくりゃ良かった!)
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