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けれど、ハルと眺める星空は嘘みたいに美しかった、
言葉が要らない世界。
寮にいた時みたいに合図することも無く顔を見合わせる。
意味も無く笑顔が出て、また空を見上げれば時々星が流れる。
「願い事、したか?」
「間に合わなかったよ」
「また流れるさ」
(僕はもう叶ってるからいいんだ)
いつも一緒にいられる。ここには邪魔なものがいない。
見渡して、ハルがここに惹かれるのが分かる。
この空はきれいだ。
なんだかんだと愚痴は喉元に上がってはくるけど、ここでの愚痴の原因は致命的なものじゃない。
すっかり立ち直ったハルがすごく嬉しい。
「なあ」
「なんだ?」
「僕さ、実験がしたかったんだよ」
「なんの? お前も勉強熱心なやつだよな」
「そんなんじゃなくて」
「ん?」
「明日さ、久し振りの休みだよな」
「毎日じゃみんなきついしな。今頃街で騒いでるだろう」
エジプトなのに、空港とか、有名なピラミッドの傍は観光地として賑わっている。
こことは大違いだ。
「だから。僕と飲まないか?」
ビクン! とハルが跳ね上がるのが分かる。
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