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遺跡の発掘や調査には許可が必要で、その条件を満たすためにハルは資格やら試験やら研究に励んできたわけで。
本当は個人レベルでやるものじゃ無い。普通、発掘チームが団体で来るもので、許可だって簡単には下りない。だから発掘権を持ってる教授のお陰で作業をしているが、体裁は 〔後から教授が来ます 今、お膳立ての作業してます〕 そういう形にしているのが実態だ。
ハルのような地盤が無いリオは、肩書きはアシスタント。
(そうは言っても『兄弟』なんだからーー)と思っていたのが甘かった。
「お前、体力あるからな。当てにしてるぞ」
そう言ったハルのこき使い方は半端じゃなかった。ハル自身すごく動くし、多分それが基準になってる……
穴掘るのなんて、穴掘りの特訓して来たんじゃなかろうか? と思うくらい、止まることなく掘り続ける。
リオの想像していたのは、掘削機やら引っ切り無しに行きかう車。多人数であっちこっちに指示を受けて散らばっていく現地の人たち。そう、インターネットや写真でよく見る遺跡発掘の光景だった。
それが、数人の異国籍の人たち。そして、ハル。これで何とかなるものなのか?
「やりたいことを限定してるからこれでいいんだよ。探してるものがある。だから手作業の方がいいんだ」
「それってどんなもの?」
「多分、小さい泥の塊に書かれた紋章とか、小さい絵が描いてあるタブレットのようなもののはずだ」
(多分? はず?)
ずいぶん大雑把な気がする。きっと寮でたくさんの資料に埋もれていたのは、その手掛かりについて調べていたのだ。
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