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そしてもう一つ気がついた。
「ねぇ、つかぬことをお伺いしますが」
「なんだよ、改まって」
「もし上に登って探すことになったら、毎日これを登るんだよね?」
「そうなるな」
「で、毎日これを降りてくる?」
「そうだな」
「それがだんだん高いところに登るようになる?」
「ああ」
「そして、また降りる」
「どうした?」
「……マッチョになるね……」
「だから体鍛えてきたんだろ?」
(こうなるんだったら違う鍛え方してきたよ……)
確かにハルのトレーニングはリオとやり方が全然違ってた。こういうことだったのか……
この説明を受けたのが着いて3日目のことだった。リオには気の遠くなるような話に思えてならない。
それでも。それでも探したいものははっきりしてるし、場所も特定されている。だからこそハルは来たんだし。
そして、今。砂とは言えなくて、コンクリートのように固まってる足元の砂をつるはしで削っている。
(シャベルじゃなかったんだねーー)
ガチ、肉体系。日焼けしていく自分。白いままのハル。
(兄弟なのに)
なんだか納得いかないリオ。
(同じ条件で動いてるよな? ハルは僕より2つも歳取ってるじゃないか!
つまり、僕は若いんだ。ハルは僕より老けてるはずなんだ)
「お前、爺ぃみたいだぞ。もっと動け」
容赦ないハル……
(あの僕の腕の中で泣いたハルはどこ行っちゃったの?)
どうやら、それはピラミッドの奥深くに潜って行ったらしい。
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