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「このピラミッドはな」
(ピラミッドの話かい! ピラミッドの前で! もうお腹いっぱいだよ!)
そう思うけど、笑顔で話すハルを久しぶりに見るようで、そして、語り始めると長いハルだからちょっとでもサボろうとそんな魂胆で熱心な顔をして清聴する。
「うん」
「本当に小さいからほとんどみんなが見捨ててるようなもんなんだ」
(見捨てられてるの? それを掘ってるの?)
「エドガー・ケイシーって覚えてるだろ?」
首を縦に振る。
(ホントは知らないけど、とりあえず)
「彼は予言者で心霊診断家だったじゃないか」
(どうして僕が知ってる前提で喋ってんの?)
当然、首を縦に振ったからなのだが。
「霊的に治療をしたり、前世診断したり。一時期は病院まで作ったってんだから凄いよな!」
「どうして一時期だったんだろうね」
「廃業してしまったらしいな。上手くいかなかったんだろう」
(予言者なんだよね? 自分のことはお留守だったってわけ?)
「だから彼の有名な予言ではスフィンクスが鍵なんだよな」
(え、そこで話、終わり? なんで鍵なんだ?)
喋り終えてハルは満足したらしい。リオは咳ばらいをした。
「ハル、なんで鍵だったんだっけ…… よく覚えてなくて」
「何言ってんだ、有名で大事な話じゃないか」
少し待った。また終わってしまったらしい、続きを話してくれない。
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