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「各務先生と何話してたんですか」
車が住宅街を滑るように走り出すと、真鳥は一言目にそう聞いた。
「別に……世間話だよ」
「……」
真鳥は友永を横目で少し睨んだ
「……悪い、お前のこと聞いた」
友永は嘘やごまかしが苦手なたちらしい。下手なのではなくて、苦手なのだと、以前自分で言っていた。嘘を吐くのがなんだか落ち着かないのだという。
そういうところも、多分友永の人間性の魅力なのだと真鳥は思う。
「各務先生なんて言ってました?」
「良くなってるって」
「俺に聞けばいいじゃないですか」
「お前嘘つくから」
言われて、真鳥は黙った。
精神の問題のことで、友永に嘘を吐いたことはないつもりだ。
真鳥はいつも「大丈夫」だと言っていただけだ。
自分ではそう思っていたから、そう答えた。けれどそれは友永の見たところ「嘘」だったのだろう。
「友永さん、……本当に大丈夫ですよ、俺は」
「……何が?」
「もう四年も経ちますし、いつまでも迷惑をかけるのも申し訳ないですし」
「俺はお前に迷惑かけられた覚えはないよ」
「貴重なオフを潰して俺の相手しなくてもいいって言ってるんです」
「久しぶりに会えて嬉しいって、さっき言っただろ」
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