第1章

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振り向かずひらひらと手だけ振りながらスタンドを登っていく矢代の後ろ姿がいつもより小さく見えた……。 (アイツは………俺がへこんでると決まって助け起こしに来てくれた…何度も。 …それこそ競技会途中の大事な時でも…) 『ナベやんが好っきゃねん』 (……まさかなぁ………) 大学時代からの親友に告白されることになるとは思っても見なかった。 既に玉砕してると本人が言っていたのだから、 何を期待してのことでもないのだろうが、 言われた方としては多少なりとも意識せずにはいられない。 人を想う気持ちがわかる今だけに、 応えてやれないことを素直に申し訳なく思った。
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