第1章

282/357
前へ
/357ページ
次へ
『貴弘……』 (長谷川さん……っ) 込み上げてくる恋しさに胸が潰されそうになる…。 彼に会いたくて、 声が聞きたくて、 力いっぱい抱きしめたくてたまらない。 (俺はっ……アンタがいなきゃ……ダメなのに……) こんなに長い間離れていて平気なのかと恨みがましく問いただしたい。 あんなに甘えん坊で、 世話焼きで、 ヤキモチ焼きで、 俺が一度金曜の夜に泊まりに行けなかっただけでヘソを曲げてたくせに、 自分の理由で出掛けちまう時は平気なのかと。 (それとも……もう、 俺のことなんか……忘れた?) 『俺が貴弘を振るなんて有り得ない。 ……有り得ないんだ』
/357ページ

最初のコメントを投稿しよう!

80人が本棚に入れています
本棚に追加