第1章

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当然俺の指定席は遥か遠く、 しばらく揉まれるままに揺られていたが下車駅が近づいてきたので、 ひとつ手前の駅で一旦下車し、 再度乗りなおすことにした。 「スミマセン! 押しまーす!」 しかし、 もうドアが閉まろうとしているのに俺は体の半分以上を電車からはみ出しており、 朝のラッシュ時だけホームに居る乗車整理のアルバイトが俺の前に立ちはだかって車内へと声を張っている。 「押しますね」 と、 今度はドアに挟まれるように固まってる俺へ個人的に確認すると、 腹と胸の辺りに両手をついて一気に車内へと押し込む。 そう。 押しているんだと思った――…。
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