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「家族のために頑張ってきたのは君だけなのか?
この家のローンだって残っているし。
だいいち、理恵子は今年大学に入学したばかりじゃないか」
僕は弱々しく反撃の言葉を吐いた。
「あなたが家族のために頑張ってきたのは知ってる。
だから、あなたに迷惑をかけるつもりはないの。
家のローンは私が返済するし、理恵子の大学費用も私が出すわ」
「その上、100万円の手切れ金か。
1億円のお年玉で君は、僕が家族と過ごしてきたこの20年間を買う、と言うんだね……」
僕は力なくうなだれた。
「ごめんなさいね」
妻は優しく僕の手を握った。
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