お年玉は別れのサイン

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~1週間後~ 僕は会社のそばにある、ワンルームマンションに引っ越すことになった。 その間に妻はあっさり家のローンを返済してしまった。 「さすがだね」 僕が苦笑いでそう言うと、妻はとてもさっぱりした表情で笑った。 第二の人生とやらに希望があるのだろう。 眩しいくらいに輝いていた。 「元気でね。今更だけど、あなたとの20年間、幸せだったのよ」 「わかっているよ。僕も幸せだった」 僕たちは握手して別れた。お互いの瞳を少しだけ潤ませながら。
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