午前0時のマーメイド

ひとつになること

｢コウさんや社長だけじゃなくて、片桐さんにも智さんたちにも伝えてからじゃないと会見なんてダメですからね｣
｢...それはそうだね｣

公表は避けられないものだと考え、私は覚悟を決めた。
まさかヤマトさんが結婚まで考えて公表しようとしてたなんて、全く考えもしなかった。

｢あの子たちうるさそうだな...｣
｢...想像できます｣

おそらく智さんたちの事を指していると思われる。
付き合う時でさえ大騒ぎだったのだ。
結婚なんて言ったら、どんな反応が返ってくるのかと思うとちょっと怖くもある。

それだけ大切に思ってくれているのだから、感謝しかないのだけれど。

｢僕は君とひとつになって生きていきたい。これからの僕と君の人生が重なり合って、今までの何倍も希望や幸せに満ちた日々になると思うんだ｣
｢はい｣
｢もう匂坂の彼女だなんて一瞬でも言われるのはゴメンだ｣
｢.....気にしてたんですね｣

剛さんが言った独占欲という言葉は、案外間違っていなかったのかもしれない。