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「仕事は辞める」
「.....えぇぇ?!」
「結婚する時は辞めるって決めてたから」
そんなの初耳ですけど!
「家族にまで常に人目を気にして生きるような生活はさせたくない」
「ヤマトさん...」
幼い頃からこの世界で生きてきたヤマトさんだからこそ、そう思うのだろう。
望むと望まないとに関わらず、いつも誰かに見られている。
いつも誰かに評価され続ける。
そんな生活は決して楽なものではなかったに違いない。
「コウさんはそれでもいいんでしょうか」
「コウにはもう了承を得てる」
あの人ならヤマトさんが望むなら、叶えてあげたいと思ったんだろう。
ヤマトさんと2人でする仕事がとても好きだと言っていたコウさんの笑顔を思い出し、あの人の深い慈しみに胸が割かれそうになる。
「寂しいだろうな...」
「二度と会えなくなるわけじゃない」
「そうですよね」
元は仕事を通して生まれた絆だったとしても、もうヤマトさんとコウさんは仕事を介す事無く繋がっているのだ。
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