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子鳥のさえずりが耳に心地よく、浮き上がった意識を感じても私は目を閉じたままでいた。
機械的な音じゃなく、なんとなく感じる日の出や風の音で目を覚ますのは気持ちがいい。
とはいえいつまでも目を閉じたままでいるわけにもいかない。
意を決してそっと瞼を上げれば、いつもの光景が映し出される。
「おはよう」
「...おはようございます。もういい加減やめないですか?」
相変わらず寝顔を満足気に眺めるヤマトさんは、もう何度目になるか分からない私の言葉に全く耳を貸さない。
「君が敬語をやめたら考えてもいいよ」
「うっ...」
いつまでも抜けきらない敬語を突っ込まれ、私は言葉を飲み込む。
困った顔をしてしまっていたのか、ヤマトさんに眉間をグイグイと押された。
「変な顔」
ヤマトさんはお決まりの台詞の後、額にチュッと口付けるとふっと微笑んで起き上がった。
「今日の予定は?」
「昼過ぎに小林さんのレッスンがあります。あとはコウさんに頼まれてる曲...」
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