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「ほわぁ...また書かれてる」
カチカチと少しネットを検索すれば、トップ画面に躍り出る私の記事。
「私かなり有名になってますねぇ」
朝食後のお茶を楽しみながら、魚にエサをやるヤマトさんに話しかける。
「悪女だからね」
「ふふふっ。まぁ間違ってはない」
「悪い子なの?」
「そうですよ?知らなかった?」
昔から誹謗中傷に慣れていた私は、大して気にすることもなく、その記事を読むのをむしろ楽しんでいた。
「傷ついてない?」
「わかる人はわかる。でしょ?」
「そうだね」
ヤマトさんは私に投げつけられるひどい言葉に心を痛めていたけれど、当の本人がケロッとしているものだから最近はあまり気にならなくなってきているようだった。
「逞しい奥さんで良かったよ」
「こんな事くらいでヤマトさんが手に入るのなら、安いもんです」
「僕、誑かされてるらしいから」
「...そんな技あるなら教えて欲しいんですけど」
軽口を言い合って笑い合う。
仕事を辞めてからヤマトさんは前より感情を表に出すようになった気がする。
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