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福袋
元日早々に営業のショッピングモールはひどい混み方で。
そんな中、今年最初の運試し。
貰ったお年玉の使い道は既に決まっていた。
一緒に行ったお姉ちゃんは堅実だから中身の見える衣料品の福袋。残りは全て貯金らしい。
私は昨年も買ったヘアアクセサリーの福袋を同じ店で買った。
去年の中身が一つを除いて良いものばかりだったから。
それでもまだお金持ち。嬉しい。
残りは友達の美尋とのカラオケ代かな。
もちろん貯金だってちゃんとする。……多分。
早速帰って袋の中の物を全て広げる。
「お、これ良いじゃん」
そう言って、ひょいと横から伸びてきたお姉ちゃんの手が持ち上げた、それ。
桜色のシュシュだった。
……嫌なことを思い出す。
今年も入ってたんだ、それ。
余程在庫が余ってんのか……。
しかめっ面の私の右耳下にそれを当てがって「似合う似合う」とにこやかに言う姉の手を軽く引き離す。
「それは身内だから甘い判定なんだって」
「そんなこと無いって。……あれ?確か去年も同じようなの入ってなかったっけ?何か見たことあるような……」
お姉ちゃんにしては珍しく記憶力良いじゃん。
……そう。
去年もお姉ちゃんに「似合う似合う」と言われた。
で、バカな私はそれを鵜呑みにして着けて学校に行った訳だ。
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