壮大な物語は始まりません(完結)

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 ノートパソコンなら持ち運びもできるし、なんだったら選ぶの手伝ってやると言われたが、その時点では残念ながら金が足りなかった。というわけで正月まで待ってお年玉を全額追加し、念願のノートパソコンを購入したのだった。  PCを選んだのも、セットアップ? からなにからかにまでやってくれたのはもちろん友人で、ただでさえすごい奴だと思っていたのだけど、もっとすごい奴に自分の中で格上げされた。  で、いざ友人がプレイしているオンラインゲームを一緒に! と思っていたら、その前に操作を覚えた方がいいと言われた。 「フリーのRPGがけっこう落ちてるから、そういうのからやってみな? それで面白いと思ったら一緒にやろうぜ」  フリー? RPG? 落ちてる? と聞いただけで僕の頭の中は?で埋め尽くされたが、吹けば飛ぶようなプライドに邪魔をされて聞くことができなかった。  友人は全くそんなことを気にすることなくいくつかゲームをダウンロードしてくれ、ショートカットというやつを作ってくれた。 「これをダブルクリックすればゲーム画面が開くから」 「あ、ありがと……」  友人はなにからなにまでやってくれ、自分の仕事に満足したように帰って行った。 「今度コントローラを買いに行こうな」と言い置いて。     
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