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「勇者よ。ここにいくばくかの路銀がある。これで装備を揃え旅に出よ。姫を無事に助け出してくれれば褒美は望みのままだ。くれぐれも頼んだぞ」
「「「はっ!」」」
なにを言われているのかと、パニックを起こしている僕以外の周りの人々が当り前のように返事をする。そしてそのまま彼らに腕を取られ、僕は王城を後にした。
「おーい、裕樹大丈夫か?」
「……え?」
目の前で手を振っているのは友人似の魔術師だった。しかも彼はあろうことか自分のことを「裕樹」と呼んだ。
「え? なに? なにが起こってんの?」
きょろきょろと周りを見ると、剣士と僧侶が苦笑している。その二人のこともどこかで見たことがあった。誰だろう? と首を傾げ思い出す。
「え? 確かパソコンサークルの、先輩たち、ですよね?」
「うん、そうだよー」
「ようこそゲームの世界へ~」
彼らは友人が入っているパソコンサークルの先輩方だった。
「ゲームの世界って? え? いったい……」
「あー……面倒くさいから明日説明してやる。明日の放課後、何もないよな?」
「な、ないけど……」
友人が自分の頭をかきながら言っている内容がなんともリアルだった。
「じゃ、明日の放課後は部室に行こう。今日は疲れただろうからまた明日な」
「またねー」
「よろしく~」
「えええ?」
勝手にその場を仕切られて困惑していたら、目が覚めた。
「え」
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