リディオ・アルボーニ1・夜伽の君は極上の花

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 しばらくそうして他愛もない話をしながら酒を楽しんでいると、雅の肌は薄らと桜色に染まり、軽くリディオに身を寄せるようにする。  匂い立つとはこういう事を言うのかと言わんばかりに、雅は怪しい色香を振りまいている。 「酔っ払ったか?」 「それほどでも。少し、気分が良いわけですよ」 「そういうのを、酔っ払いと言うんじゃないのか」 「そうなのですか? 私はてっきり、前後不覚となる事を酔っ払うというのだと」 「そいつは泥酔ってんだ」  それでも悪くない。ふふふっと、楽しげにする雅の雰囲気は柔らかいものだ。寄せる体は色づいて甘い香を放ち、着物の裾から見えるほっそりとした足は見るからに欲情を誘う。 「風呂、入るぞ」 「あぁ、そうでございますね。それでは、少し整えて参ります」  雅は危なげもなく立ち上がり、帯を解いて着物を脱いでいく。リディオに背を向けたまま、するりと落ちる豪華な着物の下からは白と薄らとした朱の柄が際立つ絹の襦袢が見える。  日本が好きで、休暇となれば日本を訪れていたリディオでも、コレには思わず見惚れてしまった。男女を問わない彼はそれこそ着物の女性との経験もあったのだが、これほどの色香は初めて感じた。     
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