【第二回】人魔の抗争盛り上がり、儒者は抑止に暗躍す

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 ここに地球艦隊1200隻が飛来、あっという間に征服して惑星全土を掌中に納めたのが44年前のことでした。こうした経緯のため、ほんの数百程度の地球人類の総督府役人と二十万の入植者たちが、残り全ての種族を支配していました。こうして出来た開拓地のひとつ、ニクス村でのとある出来事から事は始まります。  星都フリギドゥスから北に2500キロ程の所にあるこの村では、悪天候による不作から深刻な食料不足を起こしていました。これを改善するために星都から派遣されたのが天才技術者サラ・クリスタルという人物でした。  サラは、幼い頃から神童の名をほしいままにし、11才で大学に進学、いわゆるテラ・フォーミングに関する専門知識を修め、16才にて地元発展のための使命感に燃えつつ、この辺境の地を目指したのです。  魔はこの人物に目をつけて、様子を伺っていました。すぐに襲わないのは、いつ、どうかどわか人類により効果的にダメージを与えられるかを検討していたからです。即ち、大きな事業を起こさせ、ある程度進んだところで突然引き抜く方が、何もしないうちに攫うよりは与える影響が大きく深刻なものになるからです。  さて、話をサラに戻します。このときには同伴者がふたりついていました。名をミレ・ソルト、リナ・ダイヤモンドといい、SDFの特務エイジェントでした。  SDFというのは地球軍が植民星に置く組織で、正式名をSelf Defence Forceといいます。念の為申し添えておきますが、とある世界の某国の「自○隊」とは何の関係もありません。万一未知の危険生物の襲来や異種族が暴徒と化して襲ってきた場合に「地球人類を護る」と称して彼らを弾圧するための組織です。あくまで「地球人類」を護るのであって、国民を護るという分けではないのがミソですが。  さして軍備を持たない彼らに対して必要とは思えない様な超のつく破壊兵器を十分に備えた悪魔の軍団。それがSDFでした。その中でも選りすぐられた先頭・殺人スキルを持つのが特務エイジェント。これがSPとして要人の警護につく。当たり前といえばこれほど当たり前の事はございません。
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