【第一回】人類は宇宙へ躍進し、異種族は異次元で潜伏す。

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 その後も730万年ほど経過すると、来ました、来ました。  またも文明が育ってきたのです。この人類も、余所に遅れはしたものの科学技術を磨き上げました。そして、隣の「月」まで、太陽系の中、なんてみみっちい事に留まらず、ついに銀河の外の宇宙への進出までも果たし、大いに気勢を上げました。外宇宙から限りない資源と安価な労働力を、せしめた地球人類は、更に版図を拡大し、そこから上がる恩恵を独占したのでありました。  そして後更に数千年も過ぎた頃、あまねく悪評轟かす大帝国の様相を呈する様になった地球人類の無節操な在り方はまさに、  すべてのこの世の理不尽を、体現し尽くす傲慢さ。  欲に任せて突き進む際限知らぬ先の先。 といったところ。  いまや世界は、様々な種族の者を同居させ、地球人類の横暴に、ただ耐えるだけの日を強いる歪んだ社会になっていました。それだけでなく、上から下まで、誰一人変える事など出来ないと信じるまでになりました。洗脳社会といいますか、、、。  「こんにち、繁栄繁栄というが、それは我々が大航海時代に経験した歴史を、今度は宇宙規模で際限したに過ぎない」とのたまう歴史家も、いた事はいたのですが、世の大多数はそんな苦言には耳を貸す事すらなく、地球人類はひたすら傍若無人を貫いていました。まあ、一般大衆の意向なんて、いつもそんなもんです。  とはいいながらも、格差社会が刻み込む溝の深さは留まる所を知らず、人々の心は自覚のない所で破壊尽くされ、昔は尊ばれていたわずかばかりの美徳も価値観も喪われ、上の階層の者でさえ、部品としてしか存在を認められない世の中になりました。  それでも「最大多数の最大幸福」とやらを求めた結果、それに些かの疑問すら唱える人はいませんでした。それがこの時代の人々の世界常識、共通認識だったのです。そう。真実が多数はの中に在る事は決してなく、常にマイノリティ、少数派の中にこそそれは在るのです。ここだけの話ですが、「みんな言ってる」「みんなそう思う」の「みんな」って誰の事でしょう? そうやって発言者の責任をはぐらかす論法が流行したのもこの時代の特徴でした。   猫も杓子も「みんな」と言うが   どこの誰だか分かりゃせぬ  物事が見えてる人から見れば、まさにこの通りでした。そんな得体の知れない者の言う事に従う道理はありません。
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