【第一回】人類は宇宙へ躍進し、異種族は異次元で潜伏す。

6/6
前へ
/16ページ
次へ
 儒者を育成する事は至難の技です。ここ数百年の間にも、幾度か専門教育の機関が作られ試されて失敗続けておりました。儒者を育てられるのは、儒者だけ、というのがこの当時、共通にして唯一の認識事項でありました。自分一代限りと決め込んで、後進育成に興味を示さない儒者もいましたが、通常儒者は弟子をとり、次世代の儒者を育てるというのが標準的な在り様で、儒者は儒者の弟子たちの中から誕生する事がほとんどでした。  儒者は常人にはたどり着けない場所に洞、あるいは堂を構え、そこに内弟子や使用人と共に住むのが普通で、丁度その様は昔でいう仙人の様な物であるといえます。  次元の狭間にある彩雲洞も、そうしたうちの一つです。彩雲洞はその昔、地球人類が宇宙に出ていくよりも前から地球辺境に存在し続け、宇宙時代に突入した後は謎の異空間ともつながり、実態がどうなっているのか誰にも分からない様になっていました。  彩雲洞の儒者たちは、揃いも揃って凄腕で、依頼をしくじる事がない、と言われる位。彼らは宇宙各地に拠点を設け、次元間回廊で結んで複雑なネットワークを形成しているといわれ、拠点間の通信と、移動は自由に出来るらしく、このため彩雲洞の儒者は行動も情報収集も格段にスピーディ、と言われておりました。勿論すべて風聞と推測妄想の類で、真実は外部の者には分かりません。  彩雲洞の名が出たところで迷いびと、第一回の読み切りといたします。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加