【序】

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【序】

 さーて皆様、お立ち会い。  これより語るお話は、とある世界の片隅でとある時代に起きた事。真偽の程はさて置いて、何故かこの手に伝わって、今ここにその真髄を明かすに至った物なのです。  時は遥か昔、いにしえの、人の歴史が始まるずっと前。そんな頃から始まります。その頃の宇宙といえば、まだ何の体裁すらも整わず、これから始まる事さえも予測も許さぬ有様 で、それままさしく   時は宇宙も若き頃、乾坤混沌渦巻いて   色も形も為さぬまま、ただ存在を示すのみ とでも言うべきものでした。いかほど時が経ったでしょう。その存在は後々の話の主役となる者が生きる舞台を創り出す、気高い役目を果たしたのです。まさに   その後暫く経った後、ようやく天地開闢の   時を迎えて星々が生まれて集う超銀河 というのに相応しい超変化でした。  そんな中から精霊が誕生したのは自然の流れ。宇宙の神気、精髄を集めたものが精霊で、その精霊が集まって、大精霊を生み出したのです。大精霊は精霊を統率しつつ、生命の奔流を起 こして様々な生き物たちの誕生を促しながらそれぞれは宇宙各地に飛び散って、そのまま土着し後々の命の維持と進化の為に働き続けていたのです。  それから更に時は過ぎ、ついに人の登場となった頃には、精霊はすっかり自然に溶け込んで、自己主張さえ忘れ去り、専ら自然環境の中を巡っておりました。そうです。それは、   それ自体が生きている生物的な存在で   あるだけでなく生き物の源として機能する という事実を証明するものでした。  更に長い時が過ぎてゆき、精霊たちは人類の擡頭により追いやられ、次第に存続そのものが脅かされるようになり、争う事を好まない大部分の精霊は次元の彼方へ旅立って姿を消してし まいました。中には、それを良しとせず、世界に留まって陰から密やかに人類を攻撃する者もあらわれました。人類にとっては原因不明の災害として認識されました。 例えて言えば   不思議な力の発現に、為す術のない人類は   災禍を避ける幸運に、あずかる事を祈るのみ といったところ。本気になった精霊の見えない力に手も足も出せない人類ではありますが、所詮主戦派は少数派。
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