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「よろしく頼みます。この時代の勝手が、よく分からず、苦労なさっているでしょう。しばし、伝師にまつわる地を巡り、伝師が置かれている現状を、学ばれるといい。奏に案内させます」
「ははっ、有難き幸せに存じまする」
思いがけず、長から歓迎を受けた月麿は、腰を低く保ちながら、謁見を済ませた。
月麿は、確信した。
伝師は、滅びない。紬姫の血が、遺伝子が、脈々と受け継がれている限り、決して失われはしない。
失わせはしない。
強く強く、月麿は心に誓った。
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