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「お前らのほうが、残忍だろう! 罪もない人たちに、悪さばかりして!」
巨木の枝に止まって榎を見下ろし、罵声を飛ばしてくる八咫を睨みつけ、榎も負けじと言い返した。
飛んでくる小さな妖怪たちを避けながら、榎は頭上に向けて剣先を突きだした。
八咫は警戒して、ばさりと大きな翼を広げた。
「いくら手下をけしかけたって、無駄だ、宵月夜。降りてこい! あたしと戦え!」
八咫の隣には、太い枝に腰を下ろし足を組む、黒い翼を持つ少年妖怪――宵月夜の姿があった。
切っ先を突き付けて、榎は宵月夜を挑発した。
「俺と戦いたいなら、上まで登ってくればいい。下等妖怪たちを、全て倒してな」
榎の言葉を軽く受け流し、宵月夜は鼻で笑った。
「八咫、魑魅魍魎を、もっと呼び寄せろ」
「御意! 我ら下等妖怪の名にかけて、宵月夜さまには指一本、触れさせはせぬぞ!」
指示を受け、八咫は嘴の前で翼を合わせ、呪文を唱えはじめた。
呪文に呼び寄せられ、小さな妖怪たちが、どこからともなく集まってきて、再び榎を取り囲んだ。
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