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わざわざ、本を読んで標準語に直していたのかと思うと、凄い努力だなと思った。
尚且つ、そこまで嫌がるほど、関西弁は格好悪いだろうかと、疑問も浮かんだ。
好き嫌いは、各々の性格の問題だから、とやかくは言えない。榎だって、男勝りな自分の性格を、恥ずかしいと思っているのだから、同じかもしれなかった。
考えを実行に移して、理想を現実にしょうと頑張っている椿のほうが、よほど凄いとも感じた。
「こんな本は、どうでもいいのよ! えのちゃんは、陰陽師の本を見に来たんでしょう!? あったわ、あたしの一番、好きな漫画!」
必死でお茶を濁し、椿は本棚の別の段から、陰陽師の活躍が描かれた漫画を抜き出して、榎に手渡した。
榎は受け取った漫画を、簡単に流し読みした。
「漫画のほうが、難しい本より分かりやすいな」
平安時代の人々の暮らしや、妖怪が現れたときの混乱。加えて、陰陽師が登場して、あらゆる術を駆使して、妖怪を倒していく臨場感。
いつの間にか、榎は本の世界に引き込まれていった。
一気に最後まで読みきり、本を閉じたときには、すっかり安倍晴明の魅力の虜になっていた。
「かぁっこいい~。強いな、安倍晴明!」
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