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東京に上京してきた当初の私は、それはそれは言葉では言い表せないほどの希望があり、心が風船のようにふわふわと揺れていたのだ。
人が多く、その数だけ夢や未来があると思うと喫茶店から眺める人々の風景が眩しくも美しく感じる次第で、心なしか頼んだブラックコーヒーがとても熱く、私に飲み干せるのか不安にかられて少し角砂糖を入れてしまったのをよく覚えていた。
学生時代の私には怖いものなどない。
そう言葉では言わなくとも行動が物語っていたのだった。
友人と肝試しに古びた洋館に立ち入ったこともあったのだ。
なんでも来い。と思う中、いやいや私など取るに足らぬ存在でございます故、こちらに住まう方々の皆様どうか私などに構わずごゆるりとお過ごしくださいませ。と臆病風にふかれ、ひらひらと毎日を生きる日々だったのだ。
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